2023年7月24日月曜日

聞かぬは一生の恥

  今、ゲラを見ている作品で、どうも自信のないところがあり、ネイティブに確認したところ、「何できいてくるのか、わからない。これしかないだろう」というような返事が来て、ちょっと凹みました。

 そうなんだろうけど、「ねえ、ここってこうだよね?」というのを、確かめたいことはときどきあるんですよね。「そうだよ」と言ってもらえたら、それで気がすむのですが、ときにはぜんぜん勘違いしていることもあるので。

 行き場のない思いをかかえて、「あーあ」と思いながら歩いていたら、母がよく「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」と言っていたのを思い出しました。

 どんな文脈で言われたか、もう覚えていないけれど、もじもじしていると、そう言って、肩を押されていたような気がします。

 で、まあいいか、わかったんだから、という気持ちになりました。

 でも、そのあとで、父によく「見てわからんもんは、きいてもわからん」と言われていたのも思い出しました。

 父は、人にものをならうのが好きじゃなくて、なんでも本を買って独学でおぼえようとする人でした。でも、年をとるほどにあきっぽくなって、何もかも中途半端で投げ出していたのを見ると、先生にちょっとコツを教えてもらったら、もっと伸びて、続けられたのでは?と思いもしたものでした。独習の限界もあるなと思えて。でも、楽しかったのなら、あれはあれでよかったのか。

 いや、「見てわからんもんは、きいてもわからん」と言ったのは母だったか……? 小学生のころ、母がやっている刺繍を「教えて」とたのんだら、本を渡されて、「これを見てやりなさい」と言われた気もします。もう記憶があやふやです。

 でも、孫がクロスステッチをしたいと言ったときは、母は手とり足とり教えていました。

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」から、父母のことをあれこれと思い出した日でした。



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