2020年5月22日金曜日

変化のとき

新型コロナによる自粛生活が始まって数ヶ月。

これを機に、今までやっていなかったことを始めた。
この時期が、ただコロナでたいへんだったときになるのはしゃくだから、「そういえば、あれを始めたのはコロナのときだったよね」と、うれしく思い出せることがほしくなった。
ほんの小さなことだけど、ちょっとだけ自分のために時間をつくって、新しいことをする。
自分にだけ意味のある、ほんのささやかなこと。

続けていこうという自分への期待をこめて、ここに書いておこう。



1月に訪れたコロニア・デ・サクラメント、おいしかったアイスティー

2020年3月17日火曜日

紙芝居『ドラゴンのバラ』

 スペイン・カタルーニャのサン・ジョルディ伝説に基づく紙芝居が発売になりました。

『ドラゴンのバラ』
脚本 あべしまこ
絵 スズキコージ
再話 宇野和美
童心社 2020.2

 スペインの昔話で紙芝居を、というのでいただいたお話でしたが、紙芝居ははじめてでわからないことだらけ。いくつか提案するも、どれもボツ。結局、編集者さんが最初に候補として目をつけていた、サン・ジョルディ伝説で作ることになりました。ドラゴン、おひめさま、真っ赤なバラの華やかさも紙芝居に向いているとのこと。

 そこで、留学時代に手に入れた、サン・ジョルディの日についてのカタルーニャ州政府発行のパンフレットなどを参考に、手とり足とり教えていただいて、ようやく原稿を書きました。

 ただ、原稿と言っても、初心者の私は原作までで、脚本にしたててくださるのは専門の方。脚本の方に原稿をパスしてからは、あとは楽しみに待つだけでした。「カタルーニャと『サン・ジョルディ伝説』」というちょっとした解説も書きましたが(⑤の紙に載っています)。

 紙芝居の大きな紙に書かれたコージさんの絵は、構図も展開も色使いも驚くことばかりり。本当にすばらしいので、ぜひ図書館などでさがしてみてください。
 これで、サン・ジョルディ伝説と言えば、この紙芝居を紹介できます。

バルセロナの小学校で、次男がサン・ジョルディの時に作ったプラスチック粘土のバラ。
柏の児童書店ハックルベリーブックスさんで3月22日から4月4日まで開催の「かみしばい展」に、何枚か原画が展示されますので、このような時ですが、ご都合のつく方、ぜひお運びください。
 4月19日(日)に予定されている「柏サンジョルディの日」のイベントでも、読んでいただけるそうで、とても楽しみです。
 この紙芝居で、本の日をもりあげていきたいと思います!
 

2020年3月5日木曜日

『イデアル〈改訂新版〉』と『うりぼうウリタ』


『イデアル〈改訂新版〉』
著者 宇野和美、平井素子、Paula Letelier 
出版社 同学社
2020.2.1 

 4年前に出版したスペイン語の教科書『イデアル』の改訂新版が、この春刊行になりました!
 初版刊行後、大学で使ううちに、「こうしたほうがよかった」とか「こんなものもあればよかった」と思う部分があり、共著者の平井素子さん、パウラ・レテリエルさんと、2年ほどかけて見直しをし、仕上げたもの。
 週1、2回だけ第二外国語でスペイン語を習う平均的な大学生が、1年間でここまでは身につけてくれるといいなと思う要素にしぼりこんだ、シンプルなつくりです。手一杯な内容を積み残して進むより、基本をしっかり身につけて達成感をもって学ぶほうがいいと、何年かの経験から実感して、こんなふうになりました。

 自慢は、最初の版と同じく、イラストをおくやまゆかさんが描いてくださったこと。マンガで活躍するおくやまさんに、もうしわけなく思いつつ(という割に、ずうずうしく……)、今回も表紙絵やいくつかの新しいカットを描いていただきました。
 語学教科書には異色の軽やかさ、楽しさ、明るさで、少しでも教科書を開いてくれるといいなと思います。

 また、今回、文化紹介の写真をいくつか差し替え、昨年10月に他界した大学時代の友人の撮ったサンティアゴ巡礼の道の写真も3点入れました。数年前に巡礼の道を踏破したとき写真をFacebookにあげていたので、できたら掲載させてもらえないかと頼むと、「うれしい!」と言って、選んでくれました。
 私はこの教科書を使う機会はなさそうだけれど、載せられてよかった!

 おくやまゆかさんは、この2月に幼年童話『うりぼうウリタ もりのがっこう』(偕成社)を刊行しました。あわてんぼうでくいしんぼうのかわいいウリタのお話、おすすめです!

 こうして2冊並べると、いとこ同士みたいだね。

2020年2月18日火曜日

「子どもの本を選ぶ」土居安子さんの講演とワークショップ

 もう半年以上ブログを書いていなくて、ちっともログになっていないなと苦笑しています。もっと構えず書けばいいのかな。

 先週の日曜日2月16日に、日本子どもの本研究会の年1回の研修会が開催されました。
 ここ3、4年、埼玉の図書館員の代田知子さんとともに担当してきた企画で、これまでも「本を選ぶ」「本を手渡す」などをテーマにいろいろな方のお話や実践報告をうかがってきました。

 実際に本を読んで、さらにこのテーマを深められないかと思案していたところ、大阪国際児童文学振興財団の土居安子さんがワークショップをしているとの話を聞き、ぜひお願いしてみたいということで、今回の企画が実現しました。

 6冊の本を読んでワークシートを埋めてくるという宿題があり、貴重な休みを使って5時間あまり講座に参加するというハードな研修。果たして参加者がいるだろうかと心配でしたが、なんのなんの、60人満席になり、問題意識を共有する参加者の積極的な参加をいただいて、充実した1日になりました。

事前に読んでくることになっていた6冊。
『すきですゴリラ』は、新版は表紙と判型が異なる。

 土居安子さんの、関西弁の軽妙で内容がぎっしりつまったマシンガントーク(という表現がまさにぴったり)は、最初の瞬間から参加者の心をとらえ、最初から最後まで本当に濃密な時間でした。

 1冊の本をめぐって、思ったことを文字にすること、ポジティブな評価もネガティブな評価も疑問も出し合うことも、講座の中でやった、絵本の表紙からみなで読み取っていくグループワークもとてもおもしろかった。
 参加者から意見を求める場面で、作品に対する賞賛だけでなく、批判的な意見や日頃抱いていた疑問なども出てきたのは、さまざまな意見を受け入れる土居さんの姿勢への信頼感と議論の深まりの証拠かなと。
 作品を読み、討議することは、日本子どもの本研究会では研究部会でもしていることなので、それももっとアピールしていきたいし、「子どもに手渡す」という共通の問題意識を持って本を読み、多面的に考えを深めていく機会は、もっとあっていいということも思いました。

 冒頭で土居さんが、「蔵書構成」が大切とおっしゃったことに、私自身はなるほどなあと思いました。さまざまな本をどのようにとりまぜるかが、腕のみせどころだということ。すべての作品の読みにもつながることで。

 終わったと思ったら(!)、もう代田さんから、もう来年の研修会の日程の打診が! 来年は2月28日(日)になりそうです。

2019年8月26日月曜日

同級生と

この週末、安曇野で大学の同級生と再会しました。



近年、ソーシャルメディアで古い友と出会うことがあります。安曇野にいるのは、Facebookでここ数年近況を知るようになったR、東京から一緒に出かけたのは、TwitterでぼちぼちとつながっているD。海外文学好きのDとは、文学イベントで時々ばったりと会います。
RとDと私は、大学の同じ教室でスペイン語のABCを学んだ仲です。3人ともどちらかといえば独立独歩。同級生とあまりつるまず、過去を振り返って思い出にふけるタイプでもなく(と、私は勝手に思っています)、思い思いに生きてきて、30歳を超えてからは、一度も会ったことがありませんでした。

それが、今年の日本翻訳大賞の授賞式でDとばったり会ったとき、8月にRに会いに行ってみようかと思いつきました。Dも乗ってきて、こういうことはまず日程を決めるのが肝心と、候補日を決め、Rに打診し、この24、25日に訪ねていくことになったのです。

お天気にもめぐまれた、すばらしい2日間でした。


全行程、にこやかに案内してくれたのはRのパートナー(ありがとうございました!)。
ギャラリーカフェで開催中の、安曇野在住の小平彩見さんの版画展に行き、Rの畑を見せてもらい、夜はレストランで地元の食材を使ったお料理をいただき、

地元のマイクロきゅうりやトマトを使ったオードブル

塩でかためたニジマスのオーブン焼き

朝は地場産野菜の直売所に連れていってもらい(買い込む、買い込む!)、
朝採りトウモロコシ! 帰って即、食べました!

みずみずしいサンつがる
安曇野ちひろ美術館を訪ね、
美術館に隣接した公園のブルーサルビア

お昼はおそば。合間には、さんざんおしゃべり。

おそばやさんの前から

記憶というのは不思議なもので、同じことでも、覚えている部分は三者三様。昔の呼び名で呼びあい、「えー、そうだったっけ?」「そこは覚えてない!」「そういえば、そんなことあったっけ」などと言いながら40年前の記憶をさぐり、夢のように流れていった月日を思いました。

いろんなことを経て、それぞれ、今の場所に立っている不思議。
¡Gracias a la vida! という言葉が浮かんできたひと時でした。




2019年6月8日土曜日

再び片付けの日々

昨年、両親の住んでいたマンションを処分するために、夏にかけて姉とやっきになって3LDKの片付けをしたのだが、今年は、現在長男と長女が住んでいる家族のマンションの大規模リフォームをすることになり、またしても片付けに追われている。

「こんなにあれこれ買い込んで」と、昨年毒づいていたのだが、今は、自分がまぎれもなく母の子であることを再認識しつつある。
5年前に出たとき、彼らも使うだろうと思って残してきた保存食品や掃除用品は、ほとんど使われないままで、代わりに、界面活性剤が入った洗剤類や、匂いのする柔軟剤や、合成保存料や調味料がいっぱい含まれていそうなインスタント食品など、私の嫌いなものがそこらじゅうにある。
自分の跡など残さず、この際、パーッと思い切って何もかも捨ててしまえという気がしてきた。

「何から捨てようか」から、「ともかくとっておきたいものだけとっておこう」とだんだんと考えが変化していくのは、昨年と同じ。そうなると、ゴールは近い。

そこで、大事なものだけ回収してきた。
まずは、20代の頃に買った陶器の置物。神保町のカフェテラス古瀬戸がオープンして間もない頃に開催された、瀬戸の美夜之窯の作品展で一目惚れして買ったものだ。



体に星のもようのあるアステカ犬。病気になったとき、この犬を抱いていると熱がさがるのだとか。当時メキシコとは縁がなかったのだが。
独り住まいの玄関の下駄箱の上にのせる。もっと早く連れてきてやればよかったと思うほど、ぴったりおさまった。

居間のキャビネットの引き出しには、ちびた鉛筆がまだまだどっさりあった。これも、選り分けて持ち帰る。

死ぬまでに使い切れるのだろうか。
捨ててもよさそうだが、こうなったら意地だ。
ここ数年で、もうこんなに↓   使ってきたのに!
鉛筆のために長生きしよう。


引き出しにしまいこまれていた、ドイツ製の木のおもちゃも持ち帰った。


一番大きい木も5センチくらいしかない、かわいい森。買うときに、安全な塗料が使ってあると言われた覚えがある。
家の屋根にする青い三角のパーツだけ1つ足りないけど、いつかだれかにプレゼントしよう。

考えが変わって、捨てることにしたものもある。
スペインにいた頃に子どもたちが図画工作で作ったものを、段ボールに入れて押入れにつっこんであったが、今日見たら、もういいかなという気持ちになった。
お別れに、写真でだけ残しておくことに。たとえば、こんなものたち。





6月末にはリフォーム開始。自分が住む可能性は少ないけれど、楽しみだ。


2019年4月25日木曜日

バスクの旅(3) サン・セバスティアンその2

サン・セバスティアンについても、書店情報、図書館情報を金子奈美さんにいただきました。ありがとうございます!
最初に行ったのは、Lagun(Urdaneta Kalea, 3)という老舗の本屋さん。夜だったのでうまく撮れず、写真がありませんが、文芸や人文関係など、市内で一番品揃えがよかったのがここでした。黙って長いこと本を選んでいるお客さんの多い、居心地のよいお店でした。

スペイン語が読める方は、こちらの記事を参照してください。

次に行ったのは、Donosti。川から大聖堂方面に向かうロータリーにある小さいお店。ビルバオのCámara と似たような印象です。
店員さんと会話しながら、「じゃあ、今日はこれにしておく」という感じで買っていくお客さんがちらほら。


いちばん好きだった書店はなくなってしまったが、そこの元店員さんが店を構えているという説明を受けて訪ねたのはTabacco Days.
鉄道駅とバスターミナルに面した、昔のタバコ工場を改装して作られたTabakalera という文化センター内の小さなしゃれたセレクトショップです。

Tabacalera の2階から見たところ。Tobacco Days は1階にあります。

文芸の最新刊や、フェミニズム、グラフィックな本など、ほとんどの本が面出しで並んでいます。


『Los animales eléctricos でんきどうぶつ』が、早くも並んでいました。
髪色がピンクの女性の店員さんに、何か勧めてくれないかとたずねてみたら、それまでまったく目をとめたことのなかった、若い作家の小説を教えてくれました。「この出版社、おもしろい本を出しているのよ」とのこと。


たまには大型店も行ってみようと、Fnac にも立ち寄りました。このところ気になっているグラフィックノベルの棚が、マドリードのFnac よりも見やすく並んでいました。Fnacは、フランス系の書店ですが、Salamandraという出版社とともにコミックの賞を主催しているので、力を入れているのか。

図書館も足を運びました。Koldo Mitxelena図書館。大聖堂の裏手です。


気力が尽きて、文学や児童書の蔵書を、1冊1冊見ることはしませんでしたが、開架で多くの本を見られるのはうれしい。ウィークデーの午前でも、館内は結構にぎわっていました。ふらっと立ち寄った雑誌のコーナーで、パラパラと読書雑誌を見ていたら、おもしろい記事を見つけ、コピーできたのは思いがけない幸運でした。
地下は展示スペースになっていて、世界の図書館の展示をしていました。

ちょうどその日の夜、図書館のホールで、Bertrand H. Carpentey という地元の作家のLa gran guerra という作品の音楽つきの朗読会があるのを知り、行ってみました。ピアノ演奏をさしはさんだ、スペイン語の朗読で、二人の兄弟のお話を堪能しました。

サン・セバスティアンに着いてから、以前読んだAntonio Muñoz Molina のEl invierno en Lisboa (評価が高い小説だけれど、男性目線の展開が好みではなかった……)の舞台の1つがサン・セバスティアンだったと思い出しました。出てきた地名のうち「憲法広場La plaza de la constitución」だけ、かろうじて思い出して訪ねてみましたが、駐車場として使われていて、何の風情もありませんでした。モデルになったジャズの店は、どこにあったのか。
旧市街には、興味深いお店がいろいろありましたが。

バスクのおじいさんと言えばベレー帽

種屋さん
老舗の菓子店



1日1万5000歩をこえる町歩きで疲労困憊し、夜は2ユーロのグラスワイン1杯で眠気に襲われ、タパスを1つつまんだだけでホテルに直行した2日間でした。