2019年4月23日火曜日

本が主役になる日 サン・ジョルディの日に寄せて



今日は、スペインのカタルーニャ地方で、町じゅうが本とバラ一色に染まる日、「サン・ジョルディの日」です。

 バルセロナでサン・ジョルディの日にもらった冊子によると、『ねずみとおうさま』(岩波書店)の主人公である国王アルフォンソ十三世が、スペインで最初に「本の日」を定めたのは1929年のこと。残念ながらこの試みは定着しませんでしたが、カタルーニャ地方では1930年代から、守護聖人、聖ジョルディと結びつき、この日に、女性は男性に本を、男性は女性に赤いバラを贈るようになったとあります。

でも、本を買うのは女性に限りません。現地では当日、市内の目抜き通りや広場に本の露店が出て、道行く人々でにぎわい、大型書店では人気作家がずらりと並び、サインをしてくれます。学校では、詩や創作、朗読の大会などが催されます。

紙とインクでできた本を、自分のものとして持つ喜び――サン・ジョルディは、そんな幸福感に触れられる、本が主役の一日です。恋人や子どもたちに、家族に、そして自分に、本をプレゼントしてはいかがでしょう。

バルセロナ留学中のこの日、修理した車をとりにいった車の販売店で、赤いバラをもらって感激したのを今でもおぼえています。本は買っても、自分にバラを買うことは考えていなかったので。バラの花には、カタルーニャの旗と同じ、黄色と赤の細いストライプのリボンが結んでありました。


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