2019年4月16日火曜日

バスクの旅(1)ビルバオ

この2月、はじめてバスクに行ってきました。
会いたい人たちと、移動手段を考えて調整し、結局、東京 → (パリ)→ ビルバオ→サン・セバスティアン→ビトリアという旅程になりました。

仕事か観光かと問われたら、「観光だけなら行かないから、どちらかというと仕事かな?」くらいのスタンスの旅。書店は寄りたいので、バスク語の翻訳家の金子奈美さんから、ビルバオとサン・セバスティアンの書店と図書館のことをいろいろ教えていただきました。ありがとう!

ビルバオでまず最初に向かったのは、Anti Liburudenda。土地勘がつかめず、旧市街をぐるぐる歩きまわり、くたびれ果ててとびこんだこちらのカフェに、




こんな本のコーナーが。だれでも、自分が読んだ本を置いていってもいいし、気にいった本があれば持っていってもいいとのこと。


このカフェで道順を教えてもらい、ようやくAntiに到着。
ANTIの文字が逆さまになっているロゴです。


文学、思想、デザイン、美術、グラフィックノベル、絵本、同人誌など。多くが面だしで並んでいるセレクトショップ。今回の旅で1軒目だったこともあって、じっくりゆっくり見せてもらいました。
下の1枚目の右上のほうには、ちょうど今私が手がけているMujeres y hombres (邦題『女と男のちがいって?』7月刊)も見えています。



2005年開店から14年、だんだんと売り上げは伸びていて、なんとかやっていると店主のお兄さんが言っていました。
オススメの本をたずねたら、Cristina Morales のLectura Fácil (←松本健二さんのブログをどうぞ)やSara Mesaをすすめられました。この2人の女性作家のものは、独立系の店でも大型店でも、どこでも必ずおいてありました。ここならではのものはないかと、なおもたずねたら、ビルバオの旧市街の道のことを書いたPablo Gallo(パブロ・ガリョ)のSiete días en las Siete Calles (シエテ・カリェスでの7日間)という本を勧められ、購入しました。
2018年に旧市街のSiete Calles を訪れた著者が、線画のイラストと文章で綴った本。
これを読んでからビルバオをたずねたら、さらにおもしろかっただろうと思います。


 
 その夕方には、ASTARLOA という古書店へ。
間口はこれだけですが、中は広く、2階もあります。
ここでは、児童書の古書を見せてもらい、『ねずみとおうさま』のコロマ神父のPelusa(ペルーサ)という本を購入。30ユーロ。初版は1912年だけれど、これはたぶん1940年ごろのもの。


50ユーロで、子どもの手書きのメモが挟まっている『ゆかいなセリアCelia, lo que dice』の初版本があって心ひかれましたが、テキストは持っているし……と、あきらめました。
2階には、何百年も前の写本のようなものが、手にとれる場所に並んでいるコーナーも。


入り口の営業時間や「本買います」の表示もおしゃれでした。

日が暮れてきてから、Camaraという店へ。


文学や人文系の本が充実した、昔ながらの本屋さんというたたずまいのお店。
ショーウィンドーの左下にあるのは、『コンビニ人間』のスペイン語版。出版されたばかりで、たいていのお店に並んでいました。

最後にたずねたのは、Louise Michel。


文芸書のほか、人文系や芸術系の本が多い印象でした。やはりセレクトショップ。

そのほか、Sopa de sapo という児童書店、バスク語の出版社でもあるチェーン店Elkar 、全国チェーンのCasa del libro、コミック専門店Joker、古本屋Boulandierものぞきました。

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ビルバオは、私が初めて訳した絵本『かちんこちんのムニア』のアスン・バルソラの生まれた街。スペイン児童文学史上、非常に大きな存在だった作家なので、彼女の本に出会うこともあるかなと期待していたのですが、亡くなって10年以上たつからか、生地のビルバオでも本をぜんぜん見かけなかったのは、ちょっと寂しかった。

ビルバオからサンセバスティアンまでのバスの車窓から見える風景が、ムニアのお話を思い出させてくれたのがせめてもの慰めでした。


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