2024年1月15日月曜日

『ガウディさんとドラゴンの街』

 


『ガウディさんとドラゴンの街』
原題:Un paseo con el señor Gaudí
文と絵:パウ・エストラダ
教育評論社
2023.12刊行

 スペインの建築家ガウディさん。彼の1日は、グエル公園にある家から仕事に出かけることから始まります。
 カサ・ミラ、サグラダ・ファミリア、カサ・バッリョ・・・ 
 バルセロナ出身の絵本作家が、モノづくり精神に打ちこんんだガウディの1日を綴り、2年をかけて詳細で緻密な絵で描いた作品。(版元ドットコムより)


 文学2点で力尽きて、昨年は子どもの本は出せないかなと思っていたところ、夏にこの仕事をいただいて、かなりハイスピードで刊行になりました。

 留学時代、最後の8か月だけ、バルセロナ市内のサン・ジャルバジ地区に住みました(2年近くは、『グルブ消息不明』(エドゥアルド・メンドサ著 柳原孝敦訳 東宣出版)の冒頭に出てくるサルダニョーラでした)。バルセロナに住んで何よりよかったのは、散歩圏内で、町のあちこちにあるアートを見られたこと。当時はまだグエル公園もカサ・ミラの屋上も無料で、手軽に楽しめました。
 地下鉄ではなくバスに乗って、外からモデルニスモの建物がある街並みを眺めるのも好きでした。

 そんな20数年前を思い出しながらの、楽しい仕事でした。

 ガウディの本は、スペインではほかにもいろいろあるのですが、これは、ていねいに描かれた絵のひとつひとつに、作者のパウ・エストラダのガウディやバルセロナの町への思いが感じられる、とても感じのよい絵本です。
 本のなかで、カサ・ミラからサグラダ・ファミリアに向かう途中でカサ・バッリョが見えるのは、実際はありえない道順ですが、作者が入れたかったのでしょうね。

 固有名詞の読みは慣例に従ったため(ガウディ展で使われているものなど)、スペイン語とカタルーニャ語の読みがごちゃまぜになっています。でも、グエル公園を、カタルーニャ語読みのグエイ公園とはできず……。

 バルセロナを知っている人には特に楽しい本だと思います。どうぞ手にとってみてください。

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