2021年1月3日日曜日

謹賀新年

  

今年翻訳出版予定の本たち


 明けましておめでとうございます。SNSに飛び交う幸せを願う言葉に、「ほんとうに」と頷く年明けです。

 スペイン語の通信講座の添削の仕事を、かれこれ15年以上続けています。受講生が月に1回、提出する訳文に赤字を入れるのですが、年末に送られてきた課題の添削が終わらず、年明け早々とりかかりました。すると、その中のひとつに、こんなお手紙が添えられていました。

 コロナ禍が始まって以来、この小さな町にもいろいろな変化がおきました。文化的な行事や講座なども行われていた近隣唯一のデパートがなくなってしまい、おまけに書店もなくなってしまいました。

 外出もままならず、現在は先生のスペイン語講座が楽しみです。年のせいで、同じ語を何度も辞書でひいたりしておりますが、まだまだ続けようと思っております。

 この通信添削は、年度制ではなく、始めたくなったときに、いつでもどうぞという形をとっています。1冊の本を何ヶ月かかけて、部分的に訳出しながら全編読んでいくというやり方で、わからない箇所は質問を受け付けます。課題の本は、私が選びます。日常とは違う世界や価値観に触れ、読書の醍醐味を味わえる、読みごたえのある本をと思って、スペインのもの、ラテンアメリカのものをとりまぜています。いつでも、どこでも、好きなときに学べるという、生涯学習のような講座です。ぽんぽん言葉で応酬するよりも、テクストと向き合ってじっくり考えるのが好きという人に向いているのだろうと思います。 

 この方は地方にお住まいの、私が講師になったときからの受講生で、もう一緒に25冊以上読んできました。その方が、今も変わらず、こんなふうにおっしゃってくださるとは。また、東京ではわかっていなかったコロナ禍の実情にも衝撃を受けました。

 胸が熱くなり、この言葉にこたえられるようでありたいし、私自身も、スペイン語で文学を読むという純粋な喜びといつも共にありたいと、心から思いました。何もできないけれど、せめて自分を裏切らないように。

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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