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2025年8月21日木曜日

チリの作家マリア・ホセ・フェラーダさん来日イベントを終えて

ラテンアメリカで子どもの本を書くということ
〜チリの国際アンデルセン賞候補作家マリア・ホセ・フェラーダさんを迎えて
というタイトルで、8月15日に神保町のブックハウスカフェでトークイベントを開催し、聞き手と通訳をつとめました。

 ガブリエラ・ミストラルのノーベル賞受賞80周年を記念した使節団として来日を機に、東京でもお話していただけるということで企画したものです。
 ご来場いただいたみなさま、オンラインでご視聴のみなさま、ありがとうございました。


 ラテンアメリカの中でもチリは特に遠くて(片道30時間かかります)、子どもの本の作家や画家が来てくれる機会はめったにありません。しかもフェラーダさんは、IBBYが主催の、2026年国際アンデルセン賞のチリ選出作家賞候補なので、JBBY(日本国際児童図書評議会)でもお迎えしたかったのですが、お盆の時期のため、残念ながらその機会は持てませんでした。

 トークでは、冒頭で5月に私が訪れた首都サンティアゴのBILIJ図書館を少しだけ紹介したあと、和訳のあるフェラーダさんの本4点を紹介。

「せん」にこだわりのあるマヌエルくんの1日を描いたピクトグラムつき絵本
『いっぽんのせんとマヌエル』パトリシオ・メナ絵 星野由美訳 偕成社 2017

「休日にマヌエルくんは何をしているの?」という子どもたちの疑問から生まれた日本オリジナルのシリーズ2巻目『いっぽんのせんとマヌエル ピクニックのひ』同 2020

ボローニャ絵本原画展に入選した日本のイラストレーター、コクマイトヨヒコさんの絵にあとから文章をつけた、スペインで刊行の2ヶ国版。
『Los animales eléctricosでんきどうぶつ』宇野和美訳 A buen paso 2018


BIBグランプリに輝いたチリのパロマ・バルディビアさんの出版社リエブレ刊行の仕かけ絵本。『ぴぅ!』マグダレナ・ペレス絵 星野由美訳 ワールドライブラリー 2021 

 そのあと、本とどのように親しんできたか、子どもの本を書くようになったきっかけ、テーマへのアプローチなど、いろいろお話をうかがいました。
 お父さんが「読者クラブ」に入っていて、本が届くのを楽しみにしていたこと、15歳ちがいの弟さんが生まれて、弟さんにお話をつくってあげたことなどなど、興味深いお話をたくさんうかがえました

 後半は、フェラーダさんの未訳作品を、朗読をまじえて紹介していきました。


チリの独裁時に命を落とした34人の子どもたちを描いたniños(子どもたち)
マリア・エレナ・バルデス絵 Liberalia 2020(2013)


スペイン内戦のときにメキシコに船で渡り、一時避難のつもりが永遠の国外追放となってしまった456人の子どもたちを描いたMexique el nombre del barco (メキシック 船の名前)
アナ・ペニャス絵 Tecolote/Alboroto 2017


簡素で余韻のある言葉がきわだつ美しい巻物型絵本 Un jardín (ある庭)
イシドロ・フェレール絵 A buen paso 2016


夢と希望のある未来が広がる、イラストもおしゃれなFuturo (未来)
マリアナ・アルカンタラ絵 Alboroto  2022


どうぶつの学校は、人間の子どもの学校とよくにています……。シリーズ化予定の幼年童話。
El día que el zorro vino volando(キツネが飛んできた日)
イッサ・ワタナベ挿絵 Fondo de cultura económica 2024


行商をしていたお父さんをモデルとした父親が登場する小説Karmp(クランプ)
Empecé /Planeta 2017

そして最後に、10月に実業之日本社から翻訳が刊行される予定の『ティーとカメレオン ふたりはいつだっていっしょ』鹿島孝一郎原作・絵

 最後の質問タイムでは、フェラーダさんの作品世界をさらによく理解できるようなご質問を会場からいただいて、とてもよい時間になりました。
 フェラーダさんと日本の読者とのすばらしい出会いの場となり、とてもうれしかったです。

 このイベントはアーカイブ配信の申し込みも受け付けていますので、見てみようという方は、下記のリンクからお申し込みください。2025年9月20日までです。

 イベントの翌日、一緒にちひろ美術館・東京に行き、展示を楽しみました。
 近いうちにまた日本かどこかの国でお会いできるよう、また願わくば、フェラーダさんの作品をもっと日本で紹介していけるよう願っています。





 

2024年9月22日日曜日

翻訳特別賞をありがとうございます


 このたび、フェルナンダ・メルチョール『ハリケーンの季節』(早川書房)の翻訳で、NPO法人日本翻訳家協会より翻訳特別賞をいただけることになりました。

 どうもありがとうございます。

 気づくとデビューから25年たっていて、同年代が定年を迎える年廻りなのに、翻訳者としての足場がまだまだ安定していないことに焦りをつのらせていたのは4年前のことです。明日の保証はなく、「もうやーめた」と自分が言えばそれっきりだな、と思っていました。

 そんな心持ちが少しずつ変化してきたのは、ここ3年くらいのことでしょうか。賞があってもなくても、できることしかできないし、日々やることは変わらないのだけれど、今回の表彰で、その仕事をやっていていいよ、とさらに肩を押してもらえた気がして、とても励まされました。

 それに、多くの友人が自分のことのように喜び祝福してくれたのが殊の外うれしく、幸せをかみしめています。ほんとうにありがとう!

 また、この仕事をいただけたのも、ネッテル『赤い魚の夫婦』(現代書館)があってのことでした。ネッテルを出してくれた編集の原島さん、あらためてありがとうございます!

 これからも精進し、翻訳していきます。

2021年10月3日日曜日

何かを求めて読まないでください

 NPO法人イスパニカ文化経済交流協会(イスパJP)主催の「オンライン対談 松本健二x宇野和美 今読みたい! スペイン語圏の女性作家たち ーフェミニズム? マジックリアリズム? それとも……?」が終わりました。




時間が許せばまだまだ話せそうでしたが、PCやタブレットの画面を見ながらだと(見なくてもいいのですが・・・)2時間が限界でしょうか。ぎっしり詰まった内容になりました。

ご視聴いただいたみなさま、ありがとうございました。

タイトルに「フェミニズム? マジックリアリズム? それとも……?」という文章を添えたのは、私としては、ラテンアメリカ文学というと作品にマジックリアリズム的なものを探し、女性の作家というとフェミニズム的なものを探してしまいがちだけど、ほんとうにそうなの? という気持ちからでした。
むしろ、そういう定義に縛られないで、作品を楽しんで、何かを感じてはどうかと。

なので、イベントの中で松本さんが冗談まじりに言った「何かを求めて読まないでください」という一言は、まさに至言。
文学は、予測や期待を持って読むよりは、まっさらな気持ちで作品に向き合うほうが楽しめ、自分のものになる。
原書を読むときも、できるだけ心を真っ白にして、聞こえてくる声、自分が感じることを大切にします。
そういうことかなと。
イベントの中で、読んでみよう、読んでみたいと思う作家や作品に出会っていただけたなら、とてもうれしいです。

今回のイベント、1つだけ私がこだわったのは、リアルに対談することでした。
去年から、オンラインイベントは参加者としても主催者側としても多数経験してきました。最近、書店で開催されるイベントにいくつか会場で参加してみて、今回に関しては、パソコンの前でずっと前を向いてドアップの顔を並べて話すより、できるだけリアルに近い形でやりたいなと思いました。

当日は、Hagi Studio が運営するKLASS というスペースから、ウェブカメラとマイクで映像と音をとりこんで配信しました。
「本屋さん?」「どこ?」と、あとで人から聞かれましたが、現場は上の写真のような感じでした。後ろに並んでいるのは、建築関係の本です。
実は、うちうちで声をかけた方数名に、会場で聞いていただきました。なごんだ雰囲気があり、ときどきバックに笑い声が入る臨場感があったのは、そんなわけです。

とりあげた本は、松本さんのブログも見ながら、自然と決まってきました。もっと付け加えられるかなと、ここ2ヶ月、ずっと原書ととっくみあってきたのですが、気になっているけれど読めなかった作品もたくさんありました。その中にまたおもしろい本があるといいなあと思っています。

イベントは、10月10日までアーカイブ視聴の受付をしていますので、よろしければお聞きください。お申し込みはこちらからどうぞ。




2021年7月4日日曜日

『2枚のコイン』

 


『2枚のコイン アフリカで暮らした3か月』
ヌリア・タマリット作
吉田恵訳
花伝社

版元ドットコム紹介文より
“泥棒”はいつも、「金」目当て――
大国による搾取が蝕む、美しい世界

17歳、片時もスマホを手放せない“今どきの若者”マル。ボランティア支援リーダーの母親に連れられて、スペインからセネガル北部、ウォロフ族の村にやってくる。そこは、マルの知らない自由で彩られていた。

「みんなで所有すれば、貧しさで死ぬ人なんかいない」
本当の豊かさとは、支援とは。

SDGsを考えるヒントが詰まった、スペイン発グラフィックノベル


花伝社より、スペインの新しいコミックが刊行になりました。表紙のみかん色(黄土色?)がはえて、とても感じのよい本になりました。
タイトルの「2枚のコイン」の意味は、作品の最後のほうで明らかになります。

この作品は、2019年にスペインのブックフェアLIBERに招待されたとき、書店で見て気に入り、購入したもの。SDGsや開発途上国の支援について考えさせる内容だし、日本人にも受け入れられやすそうな絵柄だと思いました。そして、同時期に花伝社の編集さんもバスクのコミックフェアで出版社から紹介されて注目していて、とんとん拍子で出版が決まりました。

翻訳勉強会にずっと参加している吉田恵さんが、翻訳してくださったのもうれしいことでした。なかなかこういう機会はないので。巻末の解説もとてもいいです。
花伝社のグラフィックノベルの判型だと原書よりもややこぶりになるため、ネームが小さくなりすぎると年寄りにはキツいのですが、簡潔に訳して、それなりの大きさの字になってよかった(笑)

一般向けですが、高校生くらいから手軽に読めそうです。学校図書館にもぜひ!
スペインのコミック、まだまだおもしろいものがありますよー。

多くの方に手にとってもらえたらうれしいです。

2021年4月7日水曜日

スペイン語の出版翻訳者に求められるものとは




スペイン語通訳者の吉田理加さんに声をかけていただき、今度、こんな話をします。

Acerkate a los Intérpretes y traductores【通訳・翻訳者を身近に】 
「スペイン語の出版翻訳者に求められるものとは」
4/17(土)19時~20時 
申し込みのリンクはこちら

概要
「翻訳家になりたい」と言ったとき、大学時代の恩師に最初に言われたのは「食べていけませんよ」という言葉でした。ロールモデルがないなか、どうやってデビューにこぎつけ、翻訳の仕事をとりつけてきたのか、他の言語の場合と違いはあるのか、翻訳者として、どんなことを大切にし、実行してきたのかなど、30年あまりの経験を振り返りながら、ありのままにお話します。
スペイン語を生かした職業として出版翻訳に憧れや興味をいだいている皆さま、出版翻訳者を目指している方、翻訳したい本がある方、また、すでに翻訳を手がけている方の参考になれば幸いです。
**************

どんな話でもいいよ、と言われて、しばらく考えた末に、このテーマにしました。
翻訳の話というと、外国語を日本語におきかえていく作業について話すことが多いのですが、アカデミックなキャリアに進まないで、(スペイン語の)翻訳者として仕事をしていくには、言葉に関すること以外にも必要な要素があると思うのです。

私自身の1週間を考えてみても、「翻訳をしたい、したい」と思いながら、翻訳そのもの以外のことをしている時間がかなりあります。しかも、その中にはお金にはならないことも、いやというほど。
だけど、じゃあ、それは何にもなっていないかというと、すべては翻訳のためでもあるのです。面倒くさくても、目的が定まっていれば、どれも雑用ではないのです。
自分のための地ならしだったり、根回しだったり、エンパワーメントだったり。

どこかから仕事が来て、訳すことにいつも専念していられるなら、違っているのかなと思うこともありますが、どうなのかな。
みな大なり小なり、同じようなものなのか、じたばたしているのは私だけなのか、わかりませんが、パワポを作りながら、考えてみました。
30年かけてしたり考えたりしてきたことを、できる限り整理してお話します。

私の根本にあるのは「おっぱい理論」。
私が勝手に命名したものですが。
つまり自分が持っている知識なんぞ、なんぼのものでもない。そんなものを出し惜しんで、後生大事にためこんでいたら腐ってしまう。吐き出していけば、また血が入れ替わって、新しい知識が湧いてくるという考えです。
正しいかどうかわかりませんが、そんなもんだと、私は思っています。
勘違いも、思い込みもあるでしょうが、今持っているものを出し切ります。

時間が限られているので、テーマからして、今回はそちらは話さないということはあるでしょうけれど、興味のある方はどうぞご参加ください。
お待ちしています!

2021年2月19日金曜日

西日暮里BOOK APARTMENT に出店します!


 

翻訳のスピンオフのようなかっこうで2007年秋に始めた、オンラインのスペイン語の児童書専門店ミランフ洋書店が、このたび、西日暮里駅前の西日暮里BOOK APARTMENT に入居することになりました!

入居といっても、31cm角の本棚です。
もちろん、これまでどおりオンライン書店は続けていきます。

これまで、実物が見たいが店舗はどこかと聞かれることがたまにあり、そのたびに店舗はなく、本は保管ケースに入っていることを説明してきました。1年に1ぺんでも、イベントに出店するとか、棚貸ししてくれる場所を探すとか、何か方法はないだろうかと思っていたところ、新聞で西日暮里BOOK APARTMENT のことを知りました。
実際に見にいったところ、これがおもしろい空間で、この中に並んだらうれしいなあと思いました。
さっそく申し込み、OKが出て、トントン拍子で入居の運びとなりました。

こういうスペースはほかにもあるのでしょうけれど、自分でしょっちゅう行けるところでないと、翻訳や授業が忙しくなると足が遠ざかり、補充ができなくなりそうです。
その点、ここなら歩いて20分ほど。散歩に最適。
小さなスペースですが、定期的にテーマを決めて並べたり、ワケありの本を格安で並べたりと、楽しみながら挑戦してみようと思います。    
絶版になった私の訳書も(現在手に入るものは、本屋さんで買ってくださいねー)置くかもしれません。

こちらが、西日暮里BOOK APARTMENT のサイトです。

基本、水曜日から日曜日の11時半から20時までやっています。

初めての搬入は、2月26日(金)です。
棚のようすは、instagram twitterで随時お知らせしていく予定です。

少し慣れてきたら、1日店長もしてみたいですが、まずはよくばらず、楽しんで棚をつくっていきたいと思います。

どうぞお楽しみに!

2020年3月17日火曜日

紙芝居『ドラゴンのバラ』

 スペイン・カタルーニャのサン・ジョルディ伝説に基づく紙芝居が発売になりました。

『ドラゴンのバラ』
脚本 あべしまこ
絵 スズキコージ
再話 宇野和美
童心社 2020.2

 スペインの昔話で紙芝居を、というのでいただいたお話でしたが、紙芝居ははじめてでわからないことだらけ。いくつか提案するも、どれもボツ。結局、編集者さんが最初に候補として目をつけていた、サン・ジョルディ伝説で作ることになりました。ドラゴン、おひめさま、真っ赤なバラの華やかさも紙芝居に向いているとのこと。

 そこで、留学時代に手に入れた、サン・ジョルディの日についてのカタルーニャ州政府発行のパンフレットなどを参考に、手とり足とり教えていただいて、ようやく原稿を書きました。

 ただ、原稿と言っても、初心者の私は原作までで、脚本にしたててくださるのは専門の方。脚本の方に原稿をパスしてからは、あとは楽しみに待つだけでした。「カタルーニャと『サン・ジョルディ伝説』」というちょっとした解説も書きましたが(⑤の紙に載っています)。

 紙芝居の大きな紙に書かれたコージさんの絵は、構図も展開も色使いも驚くことばかりり。本当にすばらしいので、ぜひ図書館などでさがしてみてください。
 これで、サン・ジョルディ伝説と言えば、この紙芝居を紹介できます。

バルセロナの小学校で、次男がサン・ジョルディの時に作ったプラスチック粘土のバラ。
柏の児童書店ハックルベリーブックスさんで3月22日から4月4日まで開催の「かみしばい展」に、何枚か原画が展示されますので、このような時ですが、ご都合のつく方、ぜひお運びください。
 4月19日(日)に予定されている「柏サンジョルディの日」のイベントでも、読んでいただけるそうで、とても楽しみです。
 この紙芝居で、本の日をもりあげていきたいと思います!
 

2020年2月18日火曜日

「子どもの本を選ぶ」土居安子さんの講演とワークショップ

 もう半年以上ブログを書いていなくて、ちっともログになっていないなと苦笑しています。もっと構えず書けばいいのかな。

 先週の日曜日2月16日に、日本子どもの本研究会の年1回の研修会が開催されました。
 ここ3、4年、埼玉の図書館員の代田知子さんとともに担当してきた企画で、これまでも「本を選ぶ」「本を手渡す」などをテーマにいろいろな方のお話や実践報告をうかがってきました。

 実際に本を読んで、さらにこのテーマを深められないかと思案していたところ、大阪国際児童文学振興財団の土居安子さんがワークショップをしているとの話を聞き、ぜひお願いしてみたいということで、今回の企画が実現しました。

 6冊の本を読んでワークシートを埋めてくるという宿題があり、貴重な休みを使って5時間あまり講座に参加するというハードな研修。果たして参加者がいるだろうかと心配でしたが、なんのなんの、60人満席になり、問題意識を共有する参加者の積極的な参加をいただいて、充実した1日になりました。

事前に読んでくることになっていた6冊。
『すきですゴリラ』は、新版は表紙と判型が異なる。

 土居安子さんの、関西弁の軽妙で内容がぎっしりつまったマシンガントーク(という表現がまさにぴったり)は、最初の瞬間から参加者の心をとらえ、最初から最後まで本当に濃密な時間でした。

 1冊の本をめぐって、思ったことを文字にすること、ポジティブな評価もネガティブな評価も疑問も出し合うことも、講座の中でやった、絵本の表紙からみなで読み取っていくグループワークもとてもおもしろかった。
 参加者から意見を求める場面で、作品に対する賞賛だけでなく、批判的な意見や日頃抱いていた疑問なども出てきたのは、さまざまな意見を受け入れる土居さんの姿勢への信頼感と議論の深まりの証拠かなと。
 作品を読み、討議することは、日本子どもの本研究会では研究部会でもしていることなので、それももっとアピールしていきたいし、「子どもに手渡す」という共通の問題意識を持って本を読み、多面的に考えを深めていく機会は、もっとあっていいということも思いました。

 冒頭で土居さんが、「蔵書構成」が大切とおっしゃったことに、私自身はなるほどなあと思いました。さまざまな本をどのようにとりまぜるかが、腕のみせどころだということ。すべての作品の読みにもつながることで。

 終わったと思ったら(!)、もう代田さんから、もう来年の研修会の日程の打診が! 来年は2月28日(日)になりそうです。

2016年11月23日水曜日

名作短編で学ぶスペイン語




 『名作短編で学ぶスペイン語』(ベレ出版)が、明日かあさってから書店に並びます。
 10名の作家の11篇の短編を対訳で注とともに収録した語学書です。 

 2年前、『名作短編で学ぶイタリア語』という本が出たとき、ほかの言語でもという出版社の意向を受けて、イタリア語の翻訳家の関口英子さんに声をかけていただいたのがきっかけです。関口さんとは、まったく面識はなかったのですが、語学学校で講読や翻訳を教えているという共通項から、目をとめてくださったのかもしれません。
 イタリア語もお二人で作っているので、これもだれかとできないかと思い、声をかけたのが網野真木子さん。日本ラテンアメリカ子どもと本の会を立ち上げたとき以来のおつきあいで、快くひきうけてくれました。

 短編と言っても、対訳で載せるとなるとごくごく短いものに限られ、また、約10篇のうち、著作権料を払うものは4、5篇にという条件があり、国もとりまぜたいし、難易度もいろいろにしたい、なるべくこれまで翻訳されていないものをと、まずは作品探しから始まりました。
 著作権をとる作品をしぼりこむまでに半年以上かかり、著作権の手続きもなかなかすんなりはいきませんでした。スペインのどこのエージェントが扱っているかをこちらで調べたり、ペルーのリベイロに至っては、個人的なつてをたどってようやく著作権者がわかったり。
 載せられなくてとても残念だったのがアナ・マリア・マトゥーテ。いくつか候補で訳してみましたが、著作権をとるのは4つにしましょうということになって泣く泣くあきらめました。
 メキシコの作家が入れられなかったのも残念でした。オクタビオ・パスで、手頃な長さのしゃれたものがありましたが、翻訳がすでに出ていたのであきらめ、また、メキシコの著作権保護期間は100年なのでパブリックドメインの作品を探すのも困難だったのでした。

 私が担当したのは、ベッケル、リリョ、ルゴーネス、マリーアス、リャマサーレスです。
 対訳だからごまかしがきかない怖さが、あとになるほどに大きくなってきてドキドキです。「そこ、違うよ」というところを見つけたら、どうぞそっと教えてください。絶対に何かあると思います。
 対訳だからと、原文についついひかれがちになるのですが(これは私の言い訳!)、網野さんの訳文は、それぞれ文体に味わいがあって、とてもすてきです。網野さん、リベイロをもっと訳してみたいと言っています。短編選集を出したいという編集者さん、いませんか?
 網野さんと最後までチームワークよく、気持ちよくとりくめたのも幸せなことでした。

 この本を読んだ学習者が、「ああ、スペイン語の文章って、こんなふうに読みといていけばいいのだな」と、コツをつかんで、いろんな本に手をのばしてくれたなら、目的を果たせたことになるかなと思っています。巻末で、収録作家以外の作家の短編の原書も紹介しています。
 
 これで今年の仕事はすべて出そろいました。今年の奥付で、訳者、著者として、私の名前が出ているのは次の4点。



 そして、翻訳協力した本を入れると、次の7点。忙しかったわけです。どの仕事も、そのときの自分の精一杯ではあるのですが、1つしあげるたびに課題に気づかされて、精進、精進という気持ちになります。この仕事を続けていく限り、自分への不満は次の仕事で返していくしかないので。
 来年もがんばろうと、はや年末の気分です。
 


2016年9月17日土曜日

THE TOKYO ART BOOK FAIR 2016


昨日から19日月曜日まで、THE TOKYO ART BOOK FAIR 2016というイベントが、京都造形芸術大学・東北芸術工科大学外苑キャンパス@青山1丁目/外苑前 で開催されています。
くわしくはこちら

何にもなければ、このイベントについて知らずじまいだったのですが、ひょんなことから知りました。8月のはじめ、スペインのある出版社からメールが入ったのが始まりです。

このアートブックフェアに今年はブラジルが招待され、上記の絵本のイラストレータ、ブラジルのファビオ・ジンブレスが参加する、ついては、自分のところの絵本を持っていきたいと言ってきたが、今からだと、スペインからブラジルに送るのが間に合うかわからない。ミランフ洋書店に送るので、受け取って、9月にファビオに渡してくれないか、という依頼です。

本は、1週間ほどで送られてきました。B4サイズくらいのずっしりと重たい本が10冊!
ファビオは、「ポルトニョールがカンペキだから大丈夫」と言われ、預かっておくことになりました。

ファビオからそのあとポルトニョールで、東京に着くのは9月12日になると連絡があり、さらに、たぶん16日の午前に連絡してとりにいくと、メ―ルが入りました。
そして、昨日。
午前中待てども連絡こず。フェアは3時からだというのに、どうするのかと思っていたら、いきなり知らない人の携帯から、「外国人の人がお宅に行きたいと言っているのだが、道がわからない」と電話がかかってきました。行ってみるとファビオでした。

重たいし、道もわからないから、フェアの人が一緒に来てくれたのか、と思ったのですが、そうではありませんでした。グーグルマップでわかるだろうと直接来たけれど、わからなくなって、近所のお店にとびこんでたずねたら(不動産やさんだったもよう)、そこにいたダスキンのマークの作業着を着ているその親切な方が、案内してくれたとのこと。
いやはや。

きちんと連絡が来て、ぱっと渡してと、スムーズにはいかないかもと、危ぶんでいましたが、予感が的中。
ああ、ラテンアメリカ! 

まあ、いいやね。無事、本を渡せたわけだから。
しかも、そのりっぱな本を1冊プレゼントしてもらいました! 書いてくれたサインがこちら。


ここのところ、ずうっと原稿でてんてこまいでしたが、なんだかゆかいな気分。

ファビオの展示は、こちらです。
上記の本を売っていますから、どうぞ買ってください。見てのとおり「パナマ」がテーマの本です。

「「DESENHO TERRÍVEL(酷い絵)」という絵のジャンルを確立したコミックアーティスト」とあるので、とんがった人かと思いきや、シャイなやさしい笑顔の人でした。
明日、ちらっと見に行こうかなと思っています。







2016年7月9日土曜日

ブラティスラヴァ世界絵本原画展 絵本の50年これまでとこれから

カタログと、金のりんご賞受賞のスペイン人作家の絵本2点。

 さいたま市のうらわ美術館で、今日から「BIB50 周年 ブラティスラヴァ世界絵本原画展 絵本の50年これまでとこれから」が始まりました。
 うらわの展示は8月31日まで、そのあとは次の4館を巡回します。

 2016年10月29日~12月11日 岩手県立美術館
 2017年1月4日~2月26日 千葉市美術館
 2017年4月8日~5月28日 足利市立美術館
 2017年7月8日~8月27日 平塚市美術館

 展示は2部構成で、1部は「BIB歴代参加作品でたどる〈日本の絵本50年〉」と題して、1965年から2013年までの参加作品の原画約30タイトルが展示されています。赤羽末吉、長新太、瀬川康男、スズキコージなど、絵本好きの方なら、「ああ、読んだ、読んだ」という作品が必ず入っているはず。
 今日はオープニングに仲町小学校の子どもたちが何人か招かれていましたが、多くの子が原画よりも、子どもの目線の高さにある展示作品の絵本にとびついて、「おれ、これ幼稚園のとき見た!」などと言っているのがほほえましかったです。
 私が「わぁ」と思ったのは、村上康成『ピンク! パール!』。1991年に金牌をとっているんですね。ちょうど会社を辞める直前に、隣の児童書編集部で出来上がりを見た絵本です。原画に、セロテープのあとがあって、編集者の息遣いを感じるようでした。
 
取材の腕章をもらったので、場内のようすも少しだけ。

 第2部は「BIB2015参加作品にみる〈絵本の今とこれから〉」。今年の日本の参加作品15点と、入選作が並んでいます。
 金のりんご賞に、スペインのハビエル・サバラとエレナ・オドリオソラが入賞したので、解説を書くところで私も関わりました。エレナ・オドリオソラは、これまで日本で出ている絵本5点では名字がオドリオゾーラとなっているのですが、今回、オドリオソラとしてもらいました。ゾーラじゃないから、ずっと気になっていたのです。
 彼女は、今、切り絵に凝っているのか、この作品は描いた絵を切りとって舞台にしたものを、写真どりした作品です。
 
 グランプリは、ローラ・カーリン。日本では、『やくそく』(ニコラ・デイビス文/さくまゆみこ訳/BL出版)などがでている作家です。図録の表紙の洗濯バサミ人形は、彼女の作品だとのこと。
 そのほか、さまざまな試みのある作品が並んでいて、とても見ごたえがありました。
 出たところには、人気投票のコーナーがあります。気に入った絵にシールを貼って帰りましょう。
 

 
 浦和は高校の3年間通った町ですが、西口方面はひさびさで、ぜんぜん知らない町のようでした。でも、うらわ美術館のすぐ左には、高校時代にときどき寄り道した本屋さん、須原屋が今もありました。ここだけタイムスリップしたような感じがしました。


 

2016年7月6日水曜日

『アウシュヴィッツの図書係』




『アウシュヴィッツの図書係』
アントニオ・G・イトゥルベ著
小原京子訳
集英社
2016.7.5刊行


絶望にさす希望の光、それはわずか8冊の本――
強制収容所を生き抜いた少女の強さを描いた、実話に基づく感動作。
(出版社HPより)


 アルベルト・マングェル『図書館 愛書家の楽園』(白水社)の中に、アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所の三十一号棟に秘密の図書館があり、そこにあった八冊の本の管理は一人の女の子にまかされていた、というくだりがあります。
 スペインの作家イトゥルベは、この文章に目をとめ、その少女のことを調べていくうちに運命の導きのように現在イスラエルで暮らす当時の図書係と出会い、この本を書きあげました(このあたりのことは、本書巻末の「著者あとがき」にあります)。

 実は私も翻訳協力という形でこの本の誕生にかかわってきたので、こうして本になり喜びもひとしおです。
「感涙」とか「感動」という語がオビに躍っていますが(笑)、人が生きるために、「本」がどれほど大きな力を持っているかを見せてくれる意欲作です。
 ぼろぼろになった8冊の図書館の蔵書ばかりか、かつて読んだ本の記憶も、絶望的な毎日の中でディタを支えます。『ニルスのふしぎな旅』などの物語をおぼえていて語ってくれる人、つまり「生きた本」のエピソードも、物語の力を感じさせてくれます。

 もうひとつ、私がとてもおもしろいと思ったのは、ジャーナリストの著者らしく、アウシュヴィッツで生きていたさまざまな人々の姿を物語にもりこんでいるところです。視察団が来たとき、アウシュヴィッツは普通の収容所だと見せかけるために作られた家族収容所を中心に、さまざまな立場の人の姿が描かれています。歴史書ではなくこうしてフィクションで語られることで、歴史的事実として知っていた出来事を読者は改めて心で感じることができるでしょう。

 本好きで、うらやましいほどスペイン語の実力がある小原京子さんは、フィクションの翻訳はこれが初めてですが、著者とも連絡をとりあって、物語の魅力をたっぷりと引き出しています。これからの活躍がとても楽しみです。

 びっくりしたことに、主人公ディタは、野村路子さんが『テレジン収容所の小さな画家たち詩人たち』(ルック)で紹介しているディタ・クラウスだというのが調べていくうちにわかりました。アウシュヴィッツに送られる前、テレジンで彼女が描いた絵やインタビューがその本におさめられています。

 もともとは、スペイン大使館商務部が5年ほど前から行っているニュースパニッシュブックスという、スペインの新刊の版権を日本の出版市場に売り込もうというプロジェクトで2013年に紹介されていた1冊です。その紹介文を集英社の編集者が目にとめ、翻訳出版となりました。
 『青春と読書』7月号46ページ、豊﨑由美さんの紹介文『この世の地獄で、生きる力を与えた「本」』を読めば、本好きな人たちは読まずにいられなくなることうけあい。
 本屋さんで、図書館で、手にとっていただけたらうれしいです。 
 


2016年7月4日月曜日

講演会「『ちっちゃいさん』が生まれるまで ―翻訳と子育てとー」

 イソール作『ちっちゃいさん』(講談社)刊行のあとお声がけいただき、下記のとおり、2016年7月16日午後2時から千葉市でお話することになりました。

 普段翻訳するとき母親としての自分は顔を出さないのですが、『ちっちゃいさん』は例外的に、子育ての経験をめいっぱい使って訳した本でした。

 たまたま3人の子を授かり育ててきたので、20年あまり、子育てとがっぷり四つに組んできたわけですが、若い頃の私は、子どもを欲しいと思ったことは一度もありませんでした。どちらかというと苦手なくらいで、「赤ちゃんはまだ?」と聞かれると、「がんばっています」と言ってお茶を濁していたのでした。
 それが変わったのは甥っ子を見たときです。「へえ、赤ん坊っておもしろいな」と初めて思いました。そして、自分の子がこの世に出てきたときには、「こんなに大事なものが人生にできてしまってどうしよう」と思うくらい、とにかく我が子はかわいくてたまりませんでした。まさか、自分がそんなふうになるとは思ってもみないことでした。今では赤ん坊を見るとついつい近づいてしまう、おせっかいなおばさんと化しています。人生というのはわからないものです。
 
 会留府の阿部さんから、スペインと日本の子育ての違いなども触れてほしいと言われています。訳文をどんなふうにねりあげていったか、具体的にどこかの部分をとりあげながら、お話したいと思っています。
 毎日新聞の千葉地方版に7月1日に掲載された告知記事はこちらです。
 お近くのみなさま、よろしければお運びください。


2016年2月21日日曜日

豊中と吹田の講演のお知らせ

3月1日(火)、3日(木)に大阪の豊中、吹田でお話させていただくことになりました。関西にお招きいただくのは初めてで、とてもうれしい。詳細は以下のとおりです。お近くの方、よろしければお出かけください。




私は略歴に「大阪生まれ」と書くことがありますが、転勤族だった父がたまたま大阪府箕面市にいたときに生まれただけで大阪との地縁はありません。とはいえ、生まれてから2歳までと、幼稚園年長から小4の1学期までは箕面、小4の2学期から小6の1学期までは大阪市北区の、今の大阪帝国ホテルのすぐ隣あたりに住んでいたので大阪弁に親しみがありますし、つれあいが奈良の人なので、いわゆる姻戚は奈良京阪に大勢います。
万博の夏は、あちこちの親戚が泊まりにきました。箕面では同じ学区に小松左京さんのお宅があり、みやこ蝶々さんのお宅がいつも行く八百屋さんの前にありました。
昔住んでいたあたりは学生時代に再訪したことがありますが、それも30年前。今はどうなっているのかな。

2015年12月23日水曜日

スペイン語教科書 IDEAL完成! 



スペイン語教科書「IDEAL」(同学社)がとうとうできました! 第二外国語でスペイン語を勉強する、ごくフツーの大学生を対象とした教科書です。
「一緒に教科書を書きませんか?」と2年前に声をかけられて、安請け合いで引き受けたものの、書きます、書きますと言いながら、なかなか原稿を書けず、共著者に本当に苦労をかけました。最後は、互いの家に泊まりあっての作業にもなりました。

IDEAL (理想的な)などという、大それた名前は、「なるべく簡潔でいいやすい、できたら1語の名前を」という編集者からの要望を受けて、最後の最後に決めたものです。

表紙とたくさんのカットを描いてくれたのはおくやまゆかさん。私の訳書『ふたりは世界一!』の挿絵を描いてくれた方です。「こんなイラストがあったら、開きたくなるよね!」という絵がいっぱいで、感謝、感謝です。このおくやまさん、先月末には『たましいいっぱい』で、文化庁メディア芸術祭マンガ部門の新人賞を受賞という、うれしいニュースも飛びこんできました。
下記に、案内用に書いたレターを添付します。
今は、できてうれしいばかりですが、来年、使った大学生や先生からの感想などをもらえたらうれしいなあと思っています。

* * * * * 

2015年12月


 このたび、大学用スペイン語教科書『IDEAL』を上梓いたしました。よろしくご高覧いただければ幸いです。
 第二外国語の授業を担当する教師は、いつでもたくさんの課題をかかえていることと思います。どうやってモチベーションを保たせられるか、どうすれば混乱させずに基礎を身につけさせられるか、どうすれば受け身ではなく主体的に、もっと学びたい、表現したい、スペイン語圏について知りたいと思ってもらえるか――そんなことを考え考え作った教科書です。理想どおりにできたかどうかはわかりませんが、いくつかの新味のある、感じのよい本になったかと思います。

 次に、特長と、執筆の際に意図したことを、かいつまんで説明させてください。
 各課4ページの本課と、ステップアップ文法と称する、2課ごとのまとめのページの構成です。12課の本課を学ぶだけでもかまいません。ステップアップ文法のページはオプションとして、時間数や学生の力を見て使用するよう考えています。
 文法ページで工夫したのは、重要表現を「キーフレーズ」としてとりだし、単純な置き換え練習等で定着できるようにしたこと、赤字を用いてポイントをつかみやすく示したこと、文法ページの例文の直接目的語、間接目的語をそれぞれ波線と点線で示して、自動詞と他動詞の違いを意識させるようにしたこと、イラストを用いて基本語彙を楽しく印象づけられるようにしたことなどです。
 練習問題には、ペアワークやリスニングも取り入れて、耳や口を使って学べるよう配慮しました。ネイティブ講師と使用しやすいように、文法事項や練習問題の問題文は、スペイン語を併記してあります。
 スペイン語圏全体に興味を持ってもらえるよう、カラー写真を多数載せ、「異文化リテラシー」のコーナーで、文化や習慣、日本との違いなどを解説し、関連した本や映画の紹介も載せました。相手を知ろうとする態度を大切にしています。
 それに、私たちがとても気に入っているのはイラストです。学生たちが、おもしろがって手にとり何度も開いてくれたら、しめたものと思っています。

 来年度の授業での使用をご検討いただければ、また、ご興味がおありの方に、ご紹介いただければ幸いです。ご意見などありましたらお寄せください。どうぞよろしくお願い申し上げます。

宇野 和美     
平井 素子     
パウラ・レテリエル 





2015年10月31日土曜日

東葛飾地区母親読書センター主催講演会のお知らせ

11月18日(水)午前10時半から、下記のとおり、千葉県の柏市で話をすることになりました。
「スペイン語の児童文学と子どもたち」
翻訳をしながら考えたこと

スペイン語圏の子どもの本のこと、私が翻訳にとりくむようになったいきさつ、今思っていることなどなど、お話する予定です。広瀬恒子さんに感謝です。

翻訳デビュー20年の記念の年(!)も、これがしめくくりの話になりそうです。
どなたでも参加できるそうなので、よろしければいらしてください。また、まわりの方にもお知らせいただければうれしいです。お待ちしています。


 






2015年6月7日日曜日

ジュンク堂池袋本店1F フェア「翻訳者が選ぶ世界の子どもの本」始まりました!



ジュンク堂池袋本店1Fでのフェア「翻訳者が選ぶ世界の子どもの本」が、昨日6月6日に始まりました。
1階のエレベーター前に、こちらの写真のように並んでいます。







「世界の」と言っていますが、カバーしているのは以下の地域。

アフリカ大陸(さくまゆみこさん)
ドイツ語圏(那須田淳さん)
オランダ語圏(野坂悦子さん)
スペイン語圏(宇野和美)

地球儀の右上に、チラリと見えているのは、イソール作『うるわしのグリセルダひめ』。私が選んだスペイン語圏は、右奥の部分に並んでいます。

選者4人が集う6月20日(土)のイベントは、すでに満員御礼、キャンセル待ちですが、自分の選んだ本についてそれぞれが書いた解説をまとめた冊子も、もうじきできるはずです。
以下は、私の解説の冒頭部分です。
 スペイン語圏は、スペインと、中南米などの約20カ国に広がります。母語話者は4億人以上おり、1960年代からガルシア=マルケス、バルガス=リョサなど、ラテンアメリカの作家たちが世界文学に大きな影響を与えてきましたが、児童文学に関しては日本ではたいへんマイナーです。
 ここ10年の年間の刊行数を見ても、英語からの翻訳は毎年何百点もあるのに対して、スペイン語はひと桁という寂しい現実があります。スペイン語圏は日本人にとってなじみが薄く、欧米ほど興味を持たれないという傾向は根強くあるようです。
 でも、だからこそ読んでみてほしいもの。英米の子どもの本とはどこか異なる違和感、「ひっかかり」を含めて受けとめ、世界の広さ、多様性を感じてもらえたらと思います。外国のものと言っても、私たちは口当たりのよいものから手にとりがちですが、そうではないものも含めての多文化です。異質なる他者を通して、私たちは自分を知ることにもなります。ここに並べた本の中の「物語」が、新たな出会いのきっかけになれば嬉しいです。
ちょっときばっていますが、基本は、「翻訳児童文学、おもしろいのになあ」という気持ちです。この80冊あまりの本だけでも、たくさんの窓が開くことでしょう。

7月10日の午後4時までですので、お近くにいらしたらのぞいてみてください。
お待ちしています!


2015年5月30日土曜日

翻訳者が選ぶ世界の子どもの本

池袋のジュンク堂書店、1階エレベータ前の大きな平台で、来週後半からフェアが始まります。それに合わせて、6月20日(土)、選書をした4名で下記のトークをさせていただけることになりました。

もとはと言えば、昨秋、Maruzen&ジュンク堂書店梅田店で、ひこ・田中さんのお声がけで大きな棚をもらい、解説を書き、本を並べていただいたのが始まり。
「東京でも!」の声があがり、仕切りなおして、新たに選びなおした本でフェアとなりました。ジュンク堂さん、ありがとうございます!
トークは、まだお席があるようです。ご興味のある方、どうぞお出かけください。

「翻訳者が選ぶ世界の子どもの本」
ジュンク堂書店 池袋本店
開催日時:2015年06月20日(土)19:30 ~  詳しくはこちら
入場料1000円。要予約。TEL 03-5956-6111。

さくま ゆみこ(翻訳家)
宇野 和美(翻訳家)
野坂 悦子(翻訳家)
那須田 淳(作家・翻訳家)

海外作家の本には、日本とは異なる価値観や視点があります。
とくに、自分ではなかなか「外」へ出られない子どもにとって、本は大切な「窓」にもなります。
この窓のむこうにある景色へ想像の翼を広げれば、違う世界を経験することができ、
解放され、本当の自分を見つけて成長していけるのです。閉塞感の増す今の日本の状況のなかで、
それぞれ別の専門言語を持つ4名が、世界の子どもの本をもっと読んでほしいと、思いを語ります。

★トークセッション終了後、サイン会あり。

2015年4月15日水曜日

サン・ジョルディの日

4月23日はサン・ジョルディの日。
バラと本を贈りあうカタルーニャのお祭りですが、4月18日(土)に、セルバンテス文化センター東京でもお祝いをします。11:30から16:00まで。

ここ数年私も、読み聞かせで参加していますが、今年は11:45と14:15の2回、ちょこっと登場します。

カバで乾杯をしたり、『ピンチョス360°』の著者であるジュゼップ・バラオナさんの指導でパン・アン・トゥマカット(トマトをぬったパン)をつくったり、大人も子どもも楽しめるプログラムのようです。お時間のある方、どうぞ遊びにきてください。

14:15の読み聞かせでは、カタルーニャ児童文学の古典『ピトゥスの動物園』El zoo d'en Pitus の一部を読み、その後、日本語版の販売もします。
翻訳出版されて、すでに10年近くたちますが、国語の教科書にも掲載されていて、「うちの子、あの本、大好きでした」とよく声をかけていただく本です。

くわしくは、こちらをどうぞ。
http://tokio.cervantes.es/FichasCultura/Ficha98561_67_25.htm