2021年12月31日金曜日
2021年のしめくくりに
2021年12月14日火曜日
誕生日を迎えて
12月7日は誕生日でした。
| 7日に見にいったOnionさんのモザイク |
去年の誕生日のブログに「どうしたらずっと翻訳をしていけるかとばかり考えている」と書きました。今もまったく同じ気持ちです。
でも、今年8月にグアダルーペ・ネッテル『赤い魚の夫婦』(現代書館)が刊行されて、これまでとちょっと違うステージに入った、そんな感じがしています。
幻覚かもしれないけれど、やっとここまで来られたという気持ち。
自分の意地で翻訳にかじりついているだけで、弱気を見せたら、「ならやめれば」と言われるだろうという心もとなさがあるのは、今も変わりませんが、翻訳の同志たちに支えられています。
すごくうれしかったのは、先週末に立ち寄った大型書店2店で、『赤い魚の夫婦』だけでなく、新刊のアナ・マリア・マトゥーテ『小鳥たち マトゥーテ短篇選』(東宣出版)も平積みになっていたこと。『赤い魚の夫婦』をきっかけに、他の訳書を手にとってもらう機会が増えたのなら、それはすごい快挙だなと。
アンドレス・バルバ『きらめく共和国』(東京創元社)や、マルセロ・ビルマヘール『見知らぬ友』(福音館書店)にも手をのばしてもらえますように。どっちもおもしろいよ。ビルマヘールは、大人でも楽しめるという呼び声が高いので(自分で言うか!)。
おもしろいと自分が思った作品を翻訳する機会が少しでも増えるよう願いながら精進します。来年も穏やかに誕生日を迎えられますように。
| 2年ぶりに家族で誕生日会食。 |
2021年12月1日水曜日
アナ・マリア・マトゥーテ『小鳥たち マトゥーテ短篇選』
悲しみ、死、少年少女のやわらかい心に爪を立てる現実。それらを一瞬にして光に変える、たわいのない噓と幻想。小説の魅力を一粒一粒に閉じ込めたような、繊細で味わい深い掌編小説集。(帯文/中島京子)
新しく村に赴任してきた若き医師ロレンソは、ある事情から、気がふれていると言われる女の家に一晩泊まることになってしまう。清潔で手入れが行き届いた部屋、美味しい食事とワイン、町で靴屋見習いをしているという一人息子の話を聞くうちに、彼は大地のようなあたたかさに心満たされ始めるが……「幸福」、過ぎ去りしある夏の淡くおさない初恋を詩情豊かに綴った「隣の少年」、人生に疲れ絶望を感じる寡婦の身に起こる摩訶不思議な出来事「噓つき」、心躍らせながら行ったお祭りで娘を襲う悲劇「アンティオキアの聖母」など、リリカルで詩的なリアリズムに空想と幻想が美しく混じりあう21篇を収録。二十世紀スペインを代表する女性作家アナ・マリア・マトゥーテ本邦初の短篇集。(版元ドットコムより)
アナ・マリア・マトゥーテの短篇集が刊行になりました。facebookにこんな投稿をしたのは去年の7月のこと(↓画像とクリックすると、別ウィンドウではっきり見えます)。
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指導教官の牛島信明先生にすすめられて、大学の卒論を三部作『商人たち』で書いたのがマトゥーテとの出会いです。その後、翻訳の仕事をしたいと先生に相談したとき、マトゥーテの短篇集を訳すことをすすめられましたが、児童文学の翻訳をするようになって月日が流れました。
それが、10年ほど前、短篇を読み直し、改めて魅了されました。そして、上記の記事のようなことになりました。もともとEl tiempo(時)かHistorias de la Artámila(アルタミラ物語)か、どちらかの短篇集を訳すことを考えていたのですが、編集者から、せっかくなら全短篇を読んで選んでみないかと提案され、短篇選集の形になりました。
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| 右は宝物にしている本革貼りの全集5巻本の1冊 |
2021年10月3日日曜日
何かを求めて読まないでください
NPO法人イスパニカ文化経済交流協会(イスパJP)主催の「オンライン対談 松本健二x宇野和美 今読みたい! スペイン語圏の女性作家たち ーフェミニズム? マジックリアリズム? それとも……?」が終わりました。
2021年8月13日金曜日
グアダルーペ・ネッテル『赤い魚の夫婦』
初めての子の出産を迎えるパリの夫婦と真っ赤な観賞魚ベタ、メキシコシティの閑静な住宅街の伯母の家に預けられた少年とゴキブリ、飼っている牝猫と時を同じくして妊娠する女子学生、不倫関係に陥った二人のバイオリニストと菌類、パリ在住の中国生まれの劇作家と蛇……。メキシコシティ、パリ、コペンハーゲンを舞台に、夫婦、親になること、社会格差、妊娠、浮気などをめぐる登場人物たちの微細な心の揺れや、理性や意識の鎧の下にある密やかな部分が、人間とともにいる生き物を介してあぶりだされる。(版元ドットコムより)
私にとって初めての、ラテンアメリカ文学の翻訳です。
一昨日、見本を受け取り、ときどき手にとって表紙をなでているうちに、いくつもの偶然が重なってこの本がここにあることを改めて思い、人生の不思議に打たれています。
後書きにも書いたのですが、この本は、イギリス人の若い翻訳家が激賞しているのを見て手にとりました。ですが、そもそも、そのイギリス人の翻訳家に出会ったのは、2012年の夏にロンドンで開催されたIBBY(国際児童図書評議会)世界大会でした。児童文学関係の大会です。
IBBYの世界大会は2年に1度開催され、2010年はスペインのサンティアゴ・デ・コンポステラで、2014年はメキシコシティで開催されました。参加はすべて自費なので、大会参加費や航空運賃、宿泊費などを含めると、相当な負担になります。2010 年と2014年はスペイン語圏だから参加するけれど、ロンドンは行けないと思っていた大会に仕方なしに参加したのは、東日本大震災以降の日本の被災地での読書活動のことをJBBYが大会で発表することになり、その準備に深くかかわっていたからでした。
その大会プログラムの中に、拙訳書『ベラスケスの十字の謎』(徳間書店)の作家、スペイン人のエリアセル・カンシーノさんの作品の一部を2人のイギリス人の翻訳家が翻訳し、その訳文を比べてみるというセッションがありました。そのときの翻訳者の1人が、ロザリンド・ハーヴェイさんでした。ロザリンドさんの翻訳にひかれるものがあったので声をかけてみると、彼女は普段は児童文学ではなく一般の文学を訳していることがわかりました。Facebookで友だちになり、彼女の投稿からネッテルの作品に出会ったというわけです。JBBYでヒーヒー言いながらボランティア仕事をし、自腹を切ってロンドンに行かなかったら、カンシーノさんと親交がなかったら、私はネッテルにあのタイミングで出会わなかったかもしれません。
そして、もう一つの偶然が起きたのは2017年7月6日のことです。その日私は、メキシコの大手出版社の版権担当者に頼まれて、メキシコ大使館で「ラテンアメリカの子どもの本出版事情と翻訳者」という演題で15分ほどの発表をしました。こちらも児童文学関係です。そもそもメキシコの出版社の人とはつきあいが浅く、ノーギャラだし日程もきつかったので断ってよさそうな仕事だったのですが、パワーポイントを作り、日本語で準備しました。
発表は、当日突然、日本語のあとにスペイン語を入れて、逐語通訳の形式でやれと言われて焦りまくり、結局スペイン語訳をまったくつけられないまま、日本語で言うべきこともすっとばし、さんざんだった思い出しかないのですが、帰り際にメキシコ大使館の方から「最後までいられないが、名刺を渡してくれと頼まれた」と言って手渡されたのが、編集者の原島さんの名刺でした。そこで連絡してみると、「読み物、特に女性の作品を紹介していきたい」と私が言ったのを聞いて、「女性作家のもの、やりましょう」と言ってくれて、やりとりが始まりました。
ネッテルのこの作品は、原島さんに出会う前に、海外文学のシリーズを持つ版元にもアプローチしましたが、すべてボツになりました。私には縁がないのかなと思ったこともありましたが、「もう終わり」と思わない限り、終わりにはならないのかも。
最速最短で目的地に至ることが推奨される現代にあって、極めて効率の悪い、遠回りのプロセスをたどって行きついた企画だったわけですが、それがこんな果実につながるとは! 何が幸いするか、わからないものです。「こうすれば、こうなる」みたいにマニュアル化できないところにも、何かがひそんでいることがあるのですね。
内容と関係のないことばかり書いてしまいました。要するに、ただただうれしいです。
しかも、メキシコに詳しい小説家の星野智幸さんに、すばらしいコメントを寄せていただきました。ありがとうございます!
今のメキシコ、ラテンアメリカの女性文学の新しい鼓動を感じてください。
裏話にここまでおつきあいいただき、ありがとうございました。
2021年7月14日水曜日
7月14日・・・
2021年7月7日水曜日
ひとり桃









