12月30日 不忍池にて
昔、ピアノを習っていたころ、何度練習しても弾けなかったパッセージが、ふっと弾けるようになる瞬間がありました。先生に言われるようにしているつもりなのに弾けず、こんなに練習しているのにと投げ出したくなっていたのが、いきなり、ふっとできるようになる。
ものごとは、スロープではなく階段状にできるようになると実感したものでした
30代の終わりに留学したときも、留学して1年半をすぎたくらいのときに、自分が前よりも読めたり話せたり聞いたりできるようになっていると、ハッと気づかされた瞬間がありました。その後、2年の予定だった留学を半年だけ延長したのですが、逆にいうと、その瞬間までは、自分の非力に泣きたくなることの連続(でも、意地でもつらいとは言えなかった・・・)の日々でした。
そして今年は、もしかしたら一段、階段をのぼれたのだろうかと思える年でした。
昨年の12月28日、見直した訳稿を編集の原島さんに渡したものの、どうなるかわからなかったグアダルーペ・ネッテルの『赤い魚の夫婦』が8月に現代書館から刊行になり、多くの方に読んでいただけ、とりあげていただけました。
趣味ではなくプロフェッショナルとして、ずっと翻訳をしていけるようになりたいと思いながら、気づくと30年余りたち、会社勤めの同級生のあいだで定年とか再任用という言葉をきくようになってようやく、少しだけ目の前がひらけた気がします。昨年は、還暦なのにまだ何もできていないという焦りに苦しみましたが、今はちょっぴり開き直り、気持ちを落ち着けて新しい年を迎えられそうです。
今年1年お世話になったみなさま、袖ふれあったみなさま、ありがとうございました。
新しい年がよい年となりますよう願っています。
今年出版された本たち
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