2016年5月8日日曜日
米原万里没後10年 文庫フェア
近所の本屋さんの店頭で『米原万里ベストエッセイI』(角川書店)というのを見かけ、思わず手にとりました。読み始めたら止まらず、もう一度本屋さんに走って、『米原万里ベストエッセイII』も買い込んで、この連休の楽しみとなりました。
前に読んだことのあるのも中にはあるはずですが、どれも実に新鮮。「痛快」とか「型やぶり」という語はこの人のためにあるのかと思えてきます。まさに頭の中をひっかきまわされるような快感。
人間への尽きせぬ興味にあふれています。よく見、よく聴き、いつも「なぜそうなるのだろう」と考え続けていく。
巻頭のエッセイ「トルコ蜜飴の版図」は、ターキッシュ・ディライトと聞いて、「あ」と思う人におすすめ。「遠いほど近くなる」の方言の転記には舌を巻きました。全編驚きに満ちています。
外国語を使って、どうにか相手をもっと知ろうとすることを私もなりわいにしているから、この本をおもしろいと思うのか、こういうことをおもしろいと思う人間だから、今のような仕事をしているのか。
読み終えてから表4側のオビを見て、「米原万里没後10年文庫フェア」というのを7つの出版社が一緒に展開しているのに気づきました。ご存知のとおりロシア語の同時通訳者であり、書評家、エッセイストとしても活躍した米原さんは、1950年生まれで、2006年の5月に亡くなっています。ちょうど10年前、今の私と同じ年齢で亡くなられたのか、と今でも惜しい気がします。
フェアで出ているほかの本も読みたくなりました。
次は『ガセネッタ&シモネッタ』かな。スペイン語通訳の横田佐知子さんの凄さを確認してみます。
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