2016年4月29日金曜日

イソール作『ちっちゃいさん』刊行になりました!!!


アルゼンチンの絵本作家イソールの『ちっちゃいさん』(原題El Menino) が、いよいよ刊行になりました。
赤ちゃんがテーマの絵本です。

最初に手にとったとき、ひと目見て、「わ、かわいい!」と思いました。単純な線で描かれていますが、どの絵も赤ちゃんの特徴をとらえて、実に愛らしいのです。
でも、かわいいばかりじゃないのがイソールなんですね。ほかの絵本のような毒気はないものの、予定調和とは無縁な意外性あふれる展開で、読者をうならせます。

赤ちゃんの本なのに、パパ、ママという言葉は、赤ちゃんがやってくるシーンにしか出てこないのもポイントです。ユニセックスな赤ちゃん本です。

講談社のホームページ用に書いた紹介文は、こちらをご覧ください。→講談社特設ページ
かなり力が入ってます(笑)

『かぞくのヒミツ』の、髪の毛が逆立ったお母さんや、『うるわしのグリセルダひめ』(どちらもエイアールディー刊)の、王子や騎士の首がころころころがる絵を見て、ええーっと思った人も、この本を見て、イソールの作家性を見なおしてくれるといいなあと思っています。

「だって、こんなふうに考えたらおもしろいじゃない?」と、イソールが投げかけてくれる視点が、読者のかたまった脳みそをやわらかくし、心を自由にしてくれるように思います。
人間性とユーモアにあふれた、スケールの大きな作家です。

それに、この絵本の何よりの特徴は、プレゼントにうってつけだということ。訳しながら私も、あの人にもあげたい、この人にもあげたいと、いろんな人の顔が浮かんできました。
刊行後すぐに、「友だちのプレゼントに買ったよ」と言ってくれた友人知人がいたのも、うれしいことでした。読むと、だれかにあげたくなる本です。

テキストは単純ですが、実によく考えられています。編集者さんに多分に支えられたこのあたりの翻訳の裏話は、またあとで。

手にとっていただけたらうれしいです。

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