夏になるといつも同じ海をおとずれる女の子。楽しみな気持ち、再会のよろこび、水のなかで得られる感覚が、美しい絵とリズミカルな文で軽やかにつづられる。うかんだり、もぐったり、およいだり、目をとじて静かに思いをめぐらせたり。心ゆくまで楽しんで海からあがったあと、浜辺ですごす女の子の姿が読者に驚きをもたらす。作者が「とくべつな場所」と語る海での体験を主人公の女の子にかさねて描いた、新しいバリアフリー絵本。(版元ドットコムより)
昨年10月、スペインのブックフェアで紹介されて、とっても気に入った本の1つが翻訳出版されました。
2025年のボローニャチルドレンズブックフェアで、ラガッツィ賞フィクションの部の最優秀賞に輝き、2026年クアトロガトス財団賞にも選出された絵本です。
Bookoliaのルイスさんはブックフェアのミーティングで黙ってこの本をさしだし、私がページをめくっていくのをじっと見守っていました。
海のシーンの美しさに息をのみ、さらにページをめくり、最後のページにきたところで「えっ!?」と、私はもう一度、冒頭のページを読みなおしました。
そして、「すごくいい! 日本ですすめたい」と伝えたのでした。
表紙やタイトルを見たときには想像もしなかった、豊かな世界が本の中に広がっていました。日本の読者のみなさんも、その驚きを感じてもらえたらと思います。
日本版の巻末には、作者のフラン・ピンタデーラさんにお願いして寄せていただいたメッセージも載っています。
ピンタデーラさんのテクストは無駄がなく、短いなかに意味がしっかりとこめられています。それを広げていくカタリーナさんの絵が、これまたすばらしい。
説明的ではなく伝わるように訳していくのに四苦八苦しました。一語あるいは一文字置き換えるだけで、違う方向に解釈されてしまう危険があったり、リズムが悪くなったり、言葉の少ない絵本は本当に難しい。
たとえば、「わたしはここにいる。」としたページ、原文はSoy. のみ。うーん。
せいいっぱい伝わるように頭をひねり、心地よくひびく言葉にしあがったと思います。編集の本作り空Sola のDさん、ディレクションとサジェスチョンをありがとうございます! お楽しみいただけたらうれしいです。
ほんとうにいい作品なので、どうか多くの方に手渡していただけますように。
