『キミのからだはキミのもの』
Tu cuerpo es tuyo
絵と文:ルシア・セラーノ
訳:宇野和美
監修:シオリーヌ
ポプラ社
2024年1月
この本は性について説明する本ではありません。子どもの生活や体は子ども自身のものであり、性暴力は身近にあることを知ってほしい、防ぎたいという願いから生まれた本です。子どもを被害者にも加害者にもしたくない、という願いです。
「プライベートゾーン」「同意」という新しい時代に即した言葉や考え方、自分のからだのことは自分で決めるという考え方や実際の対処のしかた、まわりに信じられる人がきっといるということを伝えたいと考えます。(ポプラ社HPより)
※こちらのページもご参照ください。
昨年の初夏くらいから本格的に動きだして、じっくりと翻訳にとりくんできた、スペイン発のノンフィクション絵本です。幼児から読めるようなシンプルな本ですが、
キミのからだことは、
キミが きめる。
あいさつや あそびでも
ほかのひとに
さわってほしくないときは
「いやだ」と いおう。
というふうに、デリケートなテーマを扱っているので、誤解されないか、性暴力の被害者のほうに罪悪感を持たせるような言い方になっていないか、自分の努力が足りなかったと思われないかなど、担当編集さんと議論に議論を重ね、何度も読み合わせて仕上げました。
自分の人生をふりかえると、「性被害」にあいかけたのは、主に小学校高学年から中学生にかけてでした。
姉と歩いていたら、「ぼくのチンチンからミルクが出ます」という紙を男に見せられ、行き止まりの路地で見せられそうになったのも、人のあまり通らない場所でひとりで夏休みの宿題のスケッチをしているとき、おじさんが話しかけてきて、となりにしゃがみ、ズボンのチャックを開いてアレをとりだし自慰行為をしたのも、5、6年生のころ。でも、それが性被害だとは、わかりませんでした。
「ミルクが出ます」のときは、帰って母に話したら、母が真っ青になったので、おかしいことだと、あとからわかったのですが、警察に通報したかどうかはわかりません。スケッチの1件は、怖かったけれど、話すのがためらわれて、秘密にしたまま大人になりました。
登校の途中で、正面から歩いてくる、いつも同じ男性に、すれちがいざまに胸をさわられると娘に言われたのも、やはり娘が5、6年生のときでした。私も中学1、2年のころ、バスのなかで、いきなり胸をむぎゅっとつかまれ、ガクガク震えながら次の停留所で降りたことがありました。
だから、カラダやプレイベートゾーンのことは、そういう年頃になる前から、じょうずに教えるべきだと思うのです。
訳しながら、J事務所で被害にあった少年たちのことも考えました。
とても大事なことを語っている本です。
楽しい絵なので、子どもも手にとりやすそうです。
必要としている子どもたちのもとに届きますように。
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