サン・セバスティアンの目玉は、エレナ・オドリオソラと会ったこと。
彼女の絵本はこれまでに『天のおくりもの』『あくびばかりしていたおひめさま』『アリアドネの糸』(いずれも光村教育図書)を訳しています。
前にこのビデオを見て(バスク語)、橋と川を見下ろす場所に住んでいるのだなと思っていましたが、その橋はスリオラ橋だと、今回の旅でわかりました。
「エレナに会うなら、ミケルにも会えばいいのに。友だちのはずだ」と助言してくれたのは、バレンシアの出版社メディアバカのビセンテ・フェレール。ミケルとは、この7月にあかね書房から刊行になるメディアバカの絵本シリーズ「あしたのための本」の2冊目『独裁政治とは?』のイラストレーター、ミケル・カサルです。
そんなわけで、サン・セバスティアンではまず、このお二人に会いました。
作品から、エレナは物静かな人と思いきや、とても早口でおしゃべり。気さくにさまざまなことを話してくれました。
エレナの最近の作品というと、物語を独自に解釈して口絵で展開した『フランケンシュタイン』、
バスクのクリスマスを描いた『エグベリア』、
アナ・マリア・マトゥーテのアカデミア入会スピーチをカードの絵本にした『森のなかで』など、
変わったフォーマットのものが続いていますが、それらはすべて、彼女自身のアイデアだとのこと。
「大きさはこうで、32ページで、みたいなのはいや」とのこと。
でも、ネルーダの『星へのオードOda a una estrella』、コルタサルの『雨粒がつぶれるAplastamiento de las gotas』、アルゼンチンの詩人アルフォンシーナ・ストゥルニの『土曜日Sábado』は、テクストを解釈がすばらしくて、普通の絵本形式だって、どれも彼女にしか描けない境地に達しているというのに!
大人の絵本として、この3冊、どこかで出してくれないかなあと、ずっと思っています。
『エグベリア』は、とても好き、とのことでした。
「日本でだって、あなたと仕事をしてみたい編集者はいっぱいいますよ」と言ったら、「とても興味がある」とのこと。「だけど、思い切った形式を提案されたら、みんな困ってしまうかも」と言ったら、笑っていました。
ミケル・カサルの絵も、ぜひ7月に新刊絵本で見てください。こちらが原書です。
ミケルは似顔絵がうまく、この本の見返しには、世界の独裁者の似顔絵が並んでいます。会ったときも、だれか人物のことに話が及んで、私がぽかんとしていると、「こんな人だよ」と、さささっと、ノートに顔を描いてくれました。
この本のイラストレーター紹介文からも、ミケルのサン・セバスティアンへの愛を感じますが、夕方6時ごろ別れたときに、「これからの時間は、コンチャ海岸のほうに歩いていくときれいだ」と、道案内をしてくれました。彼がすすめてくれたウルグル山に登れなかったのが心残り。
日暮れのコンチャ海岸 |
帰国してから、エレナ・オドリオソラが2020年の国際アンデルセン賞、スペインから画家賞に推薦されたというニュースが入りました。今度はどうかな。
サン・セバスティアンの書店と図書館のことは、また次回。
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