2015年11月18日水曜日

Two White Rabbits

Two White Rabbits by Jairo Buitrago

Two White Rabbits
文 Jairo Buitrago
絵 Rafael Yockteng
48ページ
出版社 Graundwood Books
2015年

『エロイーサと虫たち』(さ・え・ら書房)のブイトラゴ、ジョクテングの新作が、カナダのグラウンドウッド社から出ました。スペイン語は出ないのかなと思いながら、早く読みたくて英語版を取り寄せました。楽しい絵本が主流の日本で出すのは難しいだろうなと、最初からちょっと弱気になっていますが、何か書かずにいられなくなりました。

エロイーサのときも、お父さんと娘でしたが、この本も、女の子とお父さんが二人で旅をしています。国籍はわかりませんが、浅黒い肌の色などからラテン系だとわかります。


   When we travel,
   I count what I see.


という文章で物語が始まります。だけど、この旅が、どうやら休暇の旅のようなものでないのは、すぐにわかります。その中で、この女の子が、この最初の言葉のとおり、めんどりが4ひき、牛が5頭、と見たものを数えていく行為が、子どもというものをとてもよく表しているようです。
先週見た写真展、国境なき子どもたち写真展「Four Wishes 4つの願い -世界の子どもたち-」の子どもたちの様子と重なります。


途中で、川をわたったり、線路のそばで野宿している人を見かけたり、列車の屋根に人々が乗ったりする光景が描かれます。みなが目指すのは
アメリカ国境です。そして、移民局の役人から逃げるシーンも出てきます。

ジョクテングの絵が、女の子のとてもよい表情、体の動きをとらえています。

厳しい状況は絵のみで描かれ、ブイトラゴの文章は不用意に涙を誘うことなく淡々と、旅のようすを語ります。ごく普通の旅の物語のように。

IBBY財団が、現在展開しているREFORMAという活動に関連して出版されました。
単独でアメリカの国境を越えていく子どもたちへの本による支援活動。最後に、パトリシア・アルダナさんの文章が載っています。

http://refugeechildren.wix.com/refugee-children

でも、声高に訴えるのではなく、リリカルな本になっています。
見返しには、グアテマラの心配ひきうけ人形も描かれています。

本当に、これが今、現実に、この世界で起きていること。日本の読者にいつか届けられるといいな。

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